競馬タイムズ週刊コラム
石川ワタル ・ かなざわいっせい(隔週) ・ 石川 徹

■ わしの一点勝負! かなざわいっせい 09/12/26(土)12:18:08
わしの一点勝負!

               かなざわいっせい


 日曜日の東京メイン・霜月Sである。前日予想でわしはLワンダーポデリオを選出した。単の1本勝負である。

 が、しかし。困ったことにコレがその…彼の背負った番号が不吉なLなのだ。戦跡を見ると、5前走で13番枠からスタートして2着、そいでもって3前走でも馬番Lを背負って走り5着である。そして今回も馬番Lである。短期間にこれほど何回も不吉なL番枠に押し込められた馬も珍しいのではなかろうかではあるまいか?

 単勝の勝負はやめようか…とやや心持ちを後退させしつつワンダーポデリオのデビューからの全成績を調べてみた。すると去年の10月18日にも東京でL番枠を引いてしまっているワンダーポデリオだった。ところがあんた、このときには見事に勝っている!

 そいでもって面白いというかなんというか、妙な物件を発見したのだった。ワンダーポデリオはこれまで5回、1番人気に支持されているのだが、そのレースでの結果が以下の通りなのである。

07年1月6日 京都  1番人気→1着
08年2月4日 佐賀  1番人気→中止
08年3月5日 名古屋 1番人気→1着
08年9月21日 阪神  1番人気→中止
09年5月30日 東京  1番人気→1着

 1番人気に応えて3回も勝っているのは実に立派だが、後の2回は揃って中止である。ナンなんだこれは、え?わしの愛用する競馬新聞に掲載の霜月Sでの予想単勝オッズは「3.6」倍で1番人気である。今まで通りだとあんた、Lワンダーポデリオは勝つかそれとも落馬競走中止ではないか…。

 ええい、もうッ!とぶっ放し、浅草場外に突撃したわしは、落馬競走中止でも文句はいわん!と気合を入れてLワンダーポデリオの単を買った。そしたら勝ってしまったではないか!で、帰ってから調べてみたら2番人気でした。ふはは、結果オーライである。

かなざわいっせい 11月24日発行「週刊競馬タイムズデータ集」掲載

■ 石川ワタルの競馬日記 09/12/26(土)12:17:01
石川ワタルの競馬日記

【やっぱりあった必勝法】


 「馬券で160億円ですか? コンピュータは私もやりますが、どうやって儲けるんですかね」
 若い知り合いのN君がうらやましそう。東京のデータ分析会社「UPRO(ユープロ)」が、独自のコンピュータプログラムを開発し、3年間で儲けた金額が160億円。それも難関の3連単馬券で、というから驚きだ。
 10月中旬、新宿ゴールデン街の呑み屋で話が盛り上がる。

「そんなヤツがいるとはね。どうりで最近、3連単の配当が安いような気がしてた」
 N君の同僚K君がそういうと、間髪置かず、「いや、07年までの3年間で160億円って話だよ」とN君。
「だったら、どうして今ごろ分かったのかな。きっと今も儲てるんじゃないの」
「そうかも知れないけど、どんなプログラムだか知りたいよね」
「なんでも東工大のコンピュータを使って作ったプログラムらしいって話を聞いたよ。東工大っていえば」
「そう、私の母校だけど、そんなわけないでしょう。学生時代に触ってたけど、けっこうバカなコンピュータでしたよ」

「そうなの。それと気になるのは、どうしてバレたかってことだね。銀行かJRAか、どっちかが税務署に通報したんだろうか?」
「いや、仲間割れじゃないの?」
「「そうかなぁ、ウインウインで、仲間みんなが潤っているのに、ケンカするかなぁ」
「それはするよ、もしひとりが持ち逃げしようとしたら」
「でも、3年間で160億円でしょ。仲間のみんながある程度は儲かったはずだから、通報した本人にも脱税容疑がかかるでしょう」

若い2人の会話は続く。やっぱり、競馬必勝法ってあるわけね。それが分かっただけでも、この事件が日本社会に与えた衝撃は大きいゾ。

石川ワタル(競馬評論家)11月10日発行「週刊競馬タイムズデータ集」掲載

■ わしの一点勝負!  かなざわいっせい 09/12/26(土)12:15:52
わしの一点勝負!

               かなざわいっせい


 10月18日の競馬終了時点で、リーディングジョッキーのトップは内田博の117勝で、2位は102勝のお馴染み武豊である。内田博の連対率は2割5分4厘、武豊のそれは3割1分7厘。武豊の方が1.24倍連対率は高いのだが、しかし。勝率を比較してみたら、内田博が1割5分0厘、武豊は1割7分2厘となり、武豊の方が1.14倍良いに留まる。つまり内田博は、勝率部門になると武豊にグンと肉薄しているのであるのであるのだったりする。

 んでもって、騎乗数は内田博の方が武豊の1.31倍だから、現在の騎乗機会と勝率を内田博が維持すれば、本年のリーディングジョッキーの座は内田博が獲得するのではなかろうか、という予測が成り立つ。12月を迎えたときに、内田博と武豊の勝ち星の差が10コ以上のままだったら、それはほぼ確実!とわしは局地的に独断決定してしまう今日この頃だ。

 菊花賞の日、有力騎手のほとんどが京都競馬場で騎乗なのに、内田博は1人居残りみたいな感じで東京で騎乗である。それは逆に言うと、内田博にとっては鬼の居ぬ間のナンとやらで、ばこんばこんと勝ち星を稼ぎ武豊との差を更に広げる絶交のチャンスではないか、とわしは思った。だからこの日の東京メイン・静岡テレビ賞も内田博のMゴールデンダリアで決まりだな・・・と呟きながら穴場に向かおうとして、あや・・・どういうわけか足を止めてしまった。

 Hドモナラズが気になったからである。そ前走は11番ゲートから発走の7着だったのだ。わしの馬券術おおむね1022号「セブンイレブンの法則」にハマッているではないか。ウーンと唸り、わしは反転して新しいマークシートを手にして記入し直した。Mゴールデンダリアの単を捨て、Hドモナラズの単・複に切り替えたのだ。

 そしたら、あいやああああ…Mゴールデンダリアが勝ってしまった。Hドモナラズはずっと後方のまま。…どもならんですわ。
  
かなざわいっせい 10月27日発行「週刊競馬タイムズデータ集」掲載

■ わしの一点勝負! 09/09/08(火)14:28:32
わしの一点勝負!

               かなざわいっせい


 わしの競馬・競馬・競馬の生活が始まってしまったのは、今から30数年のことである。その頃、「芝」1800メートルで1分50秒を切ると…速い!ものすんごく速い!!と評価されたものである。
光陰もそのスピードは速いと噂には聞いていたが、ほんとに速くてあんた、それから30年がアッという間に矢のごとく過ぎ去り、Iトランセンドの前走「ダート」1800メートルのレコードタイムがなんと、1分49秒5なのだから驚いてしまいます。ダートでは最も時計が出にくい良馬場でのレコードなのだから、更に凄いと思う。

 ちなみに当該レース、本年第1回のレパードSのレパードが英語のLeopardなら、豹である。豹も速く走るんだろうけど、しかし。豹といえば草食動物を狙って捕らえ食いちぎるような獰猛さの方が、わしには印象強い。それが草食動物であるところの馬が走る競馬レースのタイトルというのには、なんだかちびっと違和感を抱いてしまうが、ま、いいか…で処理して浅草場外に突撃した。

 で、わしが買ったのはCスーニの単1000円である。Iトランセンドの1分49秒5は凄い!と賛辞を呈しておきながら、その馬から勝負するのではないのはなぜか?と訊かれても、あのね。わし自身よく分からんのである。ま、そういう速いヤツを誰かが負かしてくれんかなというところに賭ける方により興奮する性質だからであろう…と思う。その上にCスーニの前走の敗北である。1番人気で6着に負けたちゅうところに…妙な同情心が湧いてくるのだったりする。とかなんとかいって、ま、実はその…Iトランセンドの単が1.7ではウマミがないというのがIトランセンド勝負を避けた最大の理由なんだけどね。

 そしたらIトランセンドが勝ち、Cスーニは0.5秒差の2着で、完敗。勝ち時計は良馬場でのまたもや1分49秒5だから、いやほんとに速くて、そして強い。…まいりました。
 
かなざわいっせい 8月25日発行「週刊競馬タイムズデータ集」掲載
 
  

■ 石川ワタルの競馬日記 09/09/08(火)14:27:09
石川ワタルの競馬日記

【Uさんの言いたい放題】


 「石川遼はすごいね。賞金ランキングも国内1位なんだから。でも幸せ度は私の方が上かな」
8月の暑い夜、新宿ゴールデン街の「シネストーク」で、Uさんが言う。中高年真っ盛りにして、降って湧いたような結婚話にウハウハのUさん。いつもは無口なのに、まるで人が変わったかのようなはしゃぎようだ。
 「それにひきかえとは言わないけど、同じ石川でも石川ワタルさんはどうですか」
 おいおい、なんだかトゲのある言い方だね。
 と、言おうとする間もなく、
 「競馬にも石川遼みたいなのが出てくるといいね。三浦皇成が人気らしいけど、まだまだよ。ところで、ほしのあきとはほんとに付き合っているの?」
知らんがな、そんなこと。

 「でも武豊が出てきたときは凄かったけどね。そろそろ賞味期限じゃないの。もう40のオッサンやから」
 Uさん、言いたい放題がちょっと過ぎるとちがいますか−と言い終わらないうちに、
 「でも石川遼はまだ17歳って言うけど、私なんか16だったんだから」
 「シーン。で、16のUさんって、どないな人やってん?」
 カウンターの向こうから、H子ちゃんが口を挟む。今どきの萌え系の女の子。
「はっは、フツーの高校生に決まってるでしょう」
「何の役にも立ってないやん。もうちょっと面白いこと言うてくれんと・・・」

 「15、16、17と私の人生暗かった−って、歌がはやってましたね。そう、宇多田ヒカルのお母さんの歌や。イヨはまだ17だから−って歌もありましたな」
 「それだけ? だからどうなの?その歌の作詞をしたとか、そういう話はないわけ?」
 「ないないない、徹底的にないね」
 うーん、全くもって進歩のないUさんであった。

石川ワタル(競馬評論家)8月18日発行「週刊競馬タイムズデータ集」掲載


■ わしの一点勝負! 09/08/11(火)13:36:32
わしの一点勝負!

               かなざわいっせい


 日曜日、小倉メイン・KBC杯の橋本美騎手である。5月10日、京都の4歳以上1000万下でスリーサンビームに騎乗して1着したのが、本年初勝利だった。それからおおむね2ヶ月半の間、勝ち星がない。つまり本年勝ち星はいまだ1コのみなのである。どうしたのだろうか?

 当レースに騎乗の各騎手の本年勝ち星は、馬番順に並べると、@川田=37勝、A浜中=29勝、B武豊=69勝、C福永=57勝、D生野=8勝、E和田竜=47勝、F橋本美=1勝、G太宰=23勝、H石橋守=4勝、I鮫島克=佐賀の騎手で分からず、J幸=17勝である。佐賀の鮫島を除くと、JRA所属の騎手の中では…残念ながら橋本美の勝ち星が徹頭徹尾ビリケツで少ないのである。

 彼の過去5年の年間勝ち星は、08年=6勝、07年=11勝、06年=14勝、05年=14勝、04年=8勝だ。6月で折り返し、後半戦に入って1ヶ月になろうとしているのに、今年はまだ1勝のみだから、例年に比べても…やはり絶不調というのが現状であるなあ…と生ぬるい溜息が落ちてしまう。

 だけんども、しかし。先週の7月19日の日曜日、OP特別の博多Sでスガノティアーズの手綱を取って2着しているのだ。絶の不調から脱出し、そろそろ普通の不調の範疇に入ろうとしているのではなかろうかではあるまいか。ここであんた、微小の好調へと一気に突進していただきたい!と、馬券いまだ絶不調の深海の底に沈んだままのわしは、自分を励ます意味も込めて、KBC杯では橋本美騎乗のFテイエムアクションの複勝を買ったのだ。

 あいやあ…そしたら見事なビリケツを食らってしまったではないか。光の射さない深海の底に沈んでいるわしの上に、どーん!と橋本美とテイエムアクションが落ちて来て乗り掛かり、わしは砂の中にめり込みそうである。…だ、誰か…助けてえッ!

かなざわいっせい 7月28日発行「週刊競馬タイムズデータ集」掲載
  
  

■ 石川ワタルの競馬日記 09/08/11(火)13:35:05
石川ワタルの競馬日記

【I先生、吠える】


 7月18日、土曜の夜も12時になろうかという頃だった。新宿ゴールデン街の行きつけの店をそろそろ出ようかと思っていたら、ドカドカと階段を昇ってIさんが登場。いきなり、
 「おう石川先生、当たっとるかね」
と来た。「こちとら当たり過ぎで、どうやったら外せるのか教えてもらいたいね」

 おやおや、すごい鼻息だこと。
 「先週の土曜だよ。福島の最終レースで3連単が27万円だっての。
IBEと来たもんだ。えっ、いくら取ったかだって。たったの500万円だっての。ケチくさい話よ。でもよ、機械じゃ払戻しダメだっていうんだ、100万超えると。窓口に行けって。帯封の100万円、ぽんと女房にくれてやったね。女房にゃ、苦労かけてるから・・・」

 ここまで話して、やっと神妙な顔つき。さっきまで新宿3丁目の「どん底」で呑んできたとか。すっかり出来上がっている。
 Iさんに初めて会ったのは、もう20年以上も昔の話。歌舞伎町のなじみの店で、僕が競馬を熱く語ったらしい。
 「競馬は研究しつくさないと勝てるようにならないって、石川先生に教わりました。ほんとにそう。私の今日あるのは、石川先生のおかげです」
 おいおい、よしてくれ。

 Iさんは超有名大学の出身だが、職場を転々とし、今の仕事にも不満があるのか、いやもともとそういう性格というのもありそうだが、いつも小言ばかり言っている印象が強い。

 それがこの変わりよう。今や大黒様か恵比寿様。変われば変わるものだ。
 「でもよ」と、Iさん。「でも何だね、今じゃ石川先生を逆転したね。そうだ、これからは”石川”と呼び捨てにするから、あんた、オレを”先生”と呼べ」だって。
 うーん、立場逆転ですか。いいですよI先生。このまま当たり続けるとよか、ですね。

石川ワタル(競馬評論家)7月21日発行「週刊競馬タイムズデータ集」掲載




■ わしの一点勝負! かなざわいっせい 09/07/10(金)15:38:54
わしの一点勝負!

               かなざわいっせい


  日本ダービー前夜、窓の外に激しい雨音を聴いていて残念に思った。そいでもって翌朝は雨音で目が覚めたのだから、更に残念無念である。浅草場外馬券オヤジのわしが久し振りに府中まで突撃の日本ダービーのなのだから、カイーンと軽快に広々と晴れて欲しかったのだった。レース結果ウンヌンは別にして、ほんとに残念。

 だが、しかし。6月20日の夜、雨が降っているのを見ながら、わしはシメシメとほくそ笑んでいた。そして翌日曜日の朝、ダービーの日と同じように雨音で目が覚め、よっしゃ!とぶっ放してしまった。福島メインは@ダブルティンパーニーが絶対に勝つと独断決定したからである。

 開幕週の柵沿いの芝は状態がいいので走りやすい。平坦小回りの福島コースだから逃げ馬に有利。そこに昨夜からずんずんと降り続く雨であるからして、追い込みが効かなくなりなり、その逆説的効果で更に更に逃げ馬が有利である。1枠に逃げ馬のダブルティンパニーが入っている。そんなんもうあんた、ポンと出てハナ獲って、ラチ沿いをそのままスローペースで逃げ切り間違いなし!だ。
競馬新聞に記載の調教師コメント通りの「ハナには拘らない」という曖昧戦法を、雨の重馬場が払拭してしまう鞍上に与える効果まで見込める。鞍上は「逃げ一本に拘らなくていいか。でも、実際にどうしようか…」などと思っていたにちがいない。が、雨の重馬場で逃げ有利なんだから、思い切り逃げてやろうではないかと腹を固めたはずだ。

 よっしゃ!でわしは穴場に走った。いつもなら複勝を買うところなのだが、しかし。ガツンと単勝1本勝負に出た。と思ったらあいやあああああ…@ダブルティンパニーは逃げなかった。内に包まれてそのまんまの7着。Cトーホーレーサーの逃げ切りじゃないか、え!聞いてるのか、鞍上の騎手、コラ!鞍上鞍下馬耳東風か…はああ。

かなざわいっせい 6月23日発行「週刊競馬タイムズデータ集」掲載
  
  

■ 石川ワタルの競馬日記 【ウオッカのお守り】 09/07/10(金)15:37:02
石川ワタルの競馬日記

【ウオッカのお守り】


 6月7日、安田記念の日は恒例のゴールデン街”春季競馬ツアー”の日。

朝の開場ダッシュで、勇者ふたりがゴール前の特等席を確保してくれたお陰で僕ら”怠け者にもホドがある”数名も、着席して観戦できる幸運にあやかれた。
 
 「きょうは絶好調ですよ」
 と若いT君。「5レースの3連単、13万馬券を当てました。負ける気、しましぇーん」とニコニコ顔。
 このT君、”可愛い子を紹介してくれ”とうるさいから、先般、とっておきのA子さんに引き会わせたところ、たった一度のデートでアウト。それもT君がアウトにされたのではなくて、その逆というからゼイタクというか、ワカラズヤというか、しょうがないヤツだ。A子さんではダメという理由が、
 「明るすぎる、元気が良すぎる」
 というから、それってどういうこと。

 かくして以前と同様、毎週土日、ひとりで競馬皆勤賞のT君である。それで馬券ますます好調というから、うらやましい話だ。
 「でも、石川さんも馬券でうるおっているんでしょう?話、聞いてますよ」
 T君の地獄耳も大したものだ。
 僕の馬券は穴馬絡みの3連単だから、滅多なことでは当たらないが、当たればデカイ。今年の的中レースには30万馬券や60万馬券があり、トータルでプラスを維持している。
 安田記念も欲をかいて大儲けを狙ったが、ウオッカ、ディープスカイの1.2番人気が1.2着して3連単はジャスト1万円どまり。これでは外れだ。

 「ウオッカ凄いネ、よくあそこから出てこられたネ」と、ウオッカ大好きで、お守りまで作ってしまったS子さん。今年3月、僕もひとつもらってドバイまで持っていったが、ドバイは方角が悪いのか着外だった。
 「やっぱりお守りは日本のものだから、日本でしか効果がないのネ」だって。

石川ワタル(競馬評論家)6月16日発行「週刊競馬タイムズデータ集」掲載





■ わしの一点勝負! かなざわいっせい 09/06/16(火)14:34:54
わしの一点勝負!

               かなざわいっせい

 日曜日は、とある本を探しに後楽園の本屋に突撃した。自らが住む北千住の本屋は全部当たったのだが…無かった。5年ほど前に出版された単行本であるからして、もう絶版になってしまったのかもしれない…と諦めかけたときに思い出したのである。競馬がテーマの本だから、後楽園の山下書店に行けばあるかもしれんぞ!、と。

 だが、しかし。競馬本のメッカ・山下書店にもわしが目指すその本は置いてなかったのだ…。残念である。

 そのため久し振りの後楽園場外での馬券勝負になったわしだった。いやあああ…、ホームの浅草場外に比べると後楽園場外はオヤジオババ濃度が低い、つまり客の年齢層が若いのである。ニイチャンネエチャンたちに負けたらイカンなどといつも以上の気合を込めて馬券勝負に臨んだんだけど、ダメだった。

 新潟メインの俊風Sである。わしの最新馬券術「5の1」という物件で選出したのは、CスーサンライダーとIジェイケイボストンの2頭。その「5の1」馬券術を説明すると、なめとんのか!と怒鳴られるかもしれないが、ま、一応説明しておく。「5の1」とは、「5走前に1番人気だった馬を狙い撃つ!」という徹頭徹尾単純且つ理屈不在の馬券術である。

 で、ワシはIジェイケイボストンの方を選択して複勝を買ったら…5着。あ、いや、6着か。5着がもう1頭の「5の1」馬のCスーサンライダーでしたね。
そして、オークスは「5の1」のFブエナビスタを敢えて蹴飛ばしたら、雨を含んだ馬場でものすんごい末脚を爆発させハナひとつ差し切るという離れ技を見せ付けられ、わしは沈没。そのお陰で財布の中には残り1000札が一枚となってしまった。泣く泣く東京最終をケンしたら、「5の1」の馬が2頭だけで、そいでもってその2頭が1着・2着ではないか!どうも本年5月は馬券の調子が悪すぎるなあ…。4月はまあまあだったのに。
  
かなざわいっせい 5月26日発行「週刊競馬タイムズデータ集」掲載

■ わしの一点勝負! 09/05/15(金)11:49:58
               かなざわいっせい

 『競馬ブック』紙に『スタッフ予想とコンピュータファクター分析』という欄がある。そのコンピュータ分析表の右端に、◎○▲△▽の5コの印が打たれているのだ。「▽」は△の中に「・」のある△だが、わしのパソコンにはそんな記号がないので「▽」と表示した。

 で、先日、突発的鋭意調査をした結果、▲△▽の打たれている馬の3着以内率がかなり高く、そいでもって来た時の配当も、おおッ!と驚くほどに高いということが判明したのである。早速、4月26日の福島メイン福島牝馬Sで実戦してみた。該当する馬は以下の3頭。

印 馬   名     騎手
△Dオディール     北村友
▲Gブラボーデイジー  生野
▽Lヤマニンメルベイユ 柴山

 この3頭の中から1頭選出して単複、または単か複の勝負をする。わしは騎手で選ぶ方法を採用した。好き嫌いはこの際横に置いといて、やはり成績を重視したい。すると上記3騎手の本年前週までの成績は、こうだった。

騎手  順位 1着 2着 3着 連対率
北村友 17  21  9  15  0.132
生野  103 1 1 0 0.080
柴山 60 4 13 7 0.086

 これはもうあんた、圧倒的に北村友の成績が良い。よっしゃあッ!とぶっ放し、わしは穴場に突撃して北村友騎乗Dオディールの複勝を1000円で買ったのだ。

 あのな、そしたら…あいやあああ、ざんざ降りの雨の中を突っ切り、▲Gブラボーデイジーが勝ってしまい、逃げ粘った▽Lヤマニンメルベイユが3着だったのじゃああああッ!で、Dオディールは14着惨敗を食らわせやがった。Gブラボーデイジーの単は1370円、Lヤマニンメルベイユの複は1170円もついたのよ。
 どうしてこうなるのか、ほんとに。どもならんの極みである!

かなざわいっせい 4月28日発行「週刊競馬タイムズデータ集」掲載

■ 石川ワタルの競馬日記 09/05/15(金)11:48:13

【小市民の宴】

 「取ったんですか、石川さん。いちばん良く見えるってパドックで言ってた通りじゃないですか。」
 皐月賞の日の夕刻、西船橋の居酒屋で開口一番、カメラマンのドスコイ村っちゃんから祝福のことば。

 いや、当てたのは皐月賞じゃないんだけど・・・。パドックでアンライバルドのデキが抜群に見えたのはドスコイに言った通りだけど、馬券は惜しいところで外れ。当てたのは、その前の京葉ステークスなんだけど。

 「本気を出せば、馬券なんかチョロイものですか」
 と、これは長年の知り合い、競馬ライターのUちゃん。
 「まぁそういうことですかね」と、僕。競馬はロマンでも、馬券は取るか外すかしかない。取ったときくらい言いたい放題でいいけど、当てたのは3連単100円ぽっちだかんね。S崎T雄さんみたいに、3連単の1万円流しが出来るのはいつの日のことやら。

「そのS崎さんて、借金3億円の人でしょ」と、美人看護師のY子さん。
 そんな話、どこから聞いたの。そう、みんなの会話で。でもS崎さん、借金は返し終わったらしいよ。
「そうなの?S崎さんて、いま独身なんでしょ。私に紹介してくれないかしら」
 おいおい、本気かよ。けっこう年の差、あるけど。
「だって、3億円も借金できるだけで凄いのに、全部返すなんてもっと凄いでしょ。馬券で返したのかしら」
「どうもそうらしいよ」とUちゃん。
「いつだったか、ズダ袋いっぱいの払戻金をかついで、”こいつは重いけど、カネで重いのは気にならないや”って言ってたらしいから。
いやそれは、知人が当てた払戻金をかついでみたときの感想だって話しもあるけど、そこんとこどうなのか。
 馬券は大きく当てたい。結論はいつも同じ。小市民による小市民のための宴は、なお続いた。

※石川ワタル的中 3連単C→M→K 22万3890円

石川ワタル(競馬評論家)4月21日発行「週刊競馬タイムズデータ集」掲載

■ わしの一点勝負! かなざわいっせい 09/03/31(火)12:01:24
わしの一点勝負!
               かなざわいっせい

 JRA競馬の昨年の重賞数は、障害も含めて131コだった。その131コの重賞を勝った数を、関東と関西の騎手別に分けると以下のようになっている。

関東 42 勝率3割2分
関西 89 勝率6割8分

 関西で生まれ、高卒後上京したわしは、関西生まれの関西育ちなのだが、しかし。もう東京での生活時間の方が断然長くなってしまった。で、はやり心情として関東騎手贔屓なのだったりする。そのわしとしては上記の数字は溜息が出てしまうほどに残念無念だ。関東騎手よりも関西騎手が2倍以上、…である。

 じゃあ、今年はどうなっているのだろうか?と思い金曜日の夜に突発的鋭意調査をしてみたら、その結果は「おッ」であった。本年前週までに終わったJRA競馬重賞数は、29コである。勝利数を東西騎手別に分けたら、こうなった。

関東 11 勝率3割8分
関西 18 勝率6割2分

 暫定の数字ではあるが、関東騎手は昨年の勝利率3割2分を3割8分へと僅かとはいえ上げているではないか。「おッ」である。しかしまあ、その…関東騎手が勝った重賞11コの内、横山典が半分以上の6コではあるのだが…。そういう事情はこの際横に置いといて、関東騎手全体の大健闘ということにして、それを寿ぎたいわしである。

 日曜日、わしは中京メイン・トリトンSでQウエスタンヒートの単勝を買った。阪神そして中山に関西のトップジョッキーが集中しているから、この中京が最も相手が手薄と考え、関東騎手・石橋脩のQウエスタンヒートを選出したのだ。そしたら、鮮やかに勝ったのである。単1本勝負の当たりは、久し振りだ。しかも重賞の単!と飛び上がったら、隣のオヤジに笑われてしまった。

 「あんた、中京のメインは重賞と違うで!」
 あれ、…そうだったの…ですか、あやや。
 
かなざわいっせい 3月24日発行「週刊競馬タイムズデータ集」掲載

■ 石川ワタルの競馬日記 【当たるのは知り合いばかり?】 09/03/31(火)11:59:40
石川ワタルの競馬日記
【当たるのは知り合いばかり?】

 「ところで、ロジユニヴァースって、路地裏の路地ユニヴァースという意味なんですかね」
弥生賞のあと、西船橋の居酒屋でまだ若いK君が言う。受け狙いと見抜いた僕からひとこと。
 「まさか・・・。”路地宇宙”なわけ、ないだろう。ロジはロジックの略でもなさそうだし、はて、なんですやろ。今度ロジユニヴァースに会ったら聞いとくよ。」

 「石川さんは日本語も時々ヘンでしょ。危険が危ないとか、不安が心配とか・・。まさか馬語は羊じゃないのに分かるめえ」
 「チミこそ日本語が乱れとるよ。そんなことより、ロジ君、これで皐月賞1番人気まちがいなしやね」と僕。
 
 そこへカメラマンのMさんが口を挟む。
 「あんまり良い馬には見えないですけど、あれでいいんですかね。」
 「逃げて2馬身1/2の差をつけるんですから、強いですよ。本命馬が逃げて、堂々としていました」とK君。
 おいおい、自分のことをいっているみたいじゃないか。K君よ、チミは僕が知っているだけで2人の女−それも綺麗な女から逃げてとうとう逃げ切ったじゃないか。いい身分だよな。と思っただけで僕は言葉を呑み込み、
 「だけど、皐月賞で逃げたら目標にされて差されるんじゃないか」
と、まじめなひとこと。

 「結局、どれが勝つかは分からない」
 「どうせ分からないなら、4連単や5連単を売ってくれないですかね。どうせ外れるんなら・・・」
 と、Mさん早くもあきらめモード。
 「そんな、ベテランが自信なしでどうするんですか。僕の知り合いのOも、Bも、3連単ビシビシ当てていますよ」と、K君。
 「そうそう、当てるのはいつも知り合いばかり。私の貧乏神、K君にあげるよ」とMさんがいうと、「それはOやBにやって下さい」とK君、なかなか言いますねぇ。

石川ワタル(競馬評論家)3月17日発行「週刊競馬タイムズデータ集」掲載

■ わしの一点勝負! かなざわいっせい 09/03/03(火)15:32:08
わしの一点勝負!

               かなざわいっせい

 昨年、横山典の重賞勝ちは12コで関東騎手の中ではトップだったが、しかし。残念なことにGTの勝利がない。そんでもって東京・中山・京都・阪神の中央場所では、京都での重賞勝ち星が1コもないのである。横山典は京都が苦手なのではなかろうかではあるまいか?

 で、土曜日の京都記念、横山典はカワカミプリンセスに騎乗した。わしは横山典で勝負したかったのだが、前記したように「横山典は京都が苦手…かも」という疑念があったので馬券を買わずにケンしたのである。重賞をケンしたのは、もしかしたら30年を越える馬券歴で初めてかもしれん。そしたらカワカミプリンセスは4着に沈んだ。

 そのメインまで横山典は6コのレースに騎乗し、10番人気という人気薄を2着に持って来た第7Rでのスノーマジックが最高の着順で、1着はなしだったのである。そして京都記念でも4着だから、うーん、やはり横山典は人には言えないなんらかの理由で徹頭徹尾京都の馬場を苦手にしているのではないか、ほんとに。

 しかし、横山典がわざわざ京都遠征して勝利なしで帰ってくるとは思えない。じゃあ、最終ではないか、え!と意気込んだわしだった。最終では4枠Fクレヨンルージュに騎乗している。単オッズ15.4倍の5番人気だ。単勝なら滅茶苦茶に美味しい倍率である。しかしなあ…「横山典は京都が苦手かも」と、5番人気なのに単オッズ15.4倍は…つきすぎ?というのが重なり、わしは穴場の前で単勝勝負を複勝に急遽変更したのだった。

 ああ、そしたら横山典のFクレヨンルージュは、1頭取消馬が出たため16頭立てが15頭立てになって、なんと13着の大惨敗。
 「横山典は京都が苦手で、お前は馬券ベタなんだから当たるわけない、フハハ!」
 と横で友人が笑っていた。
…とほほ。
 
かなざわいっせい 2月24日発行「週刊競馬タイムズデータ集」掲載

■ 石川ワタルの競馬日記 【ミゾウユウのウズチュウ?】 09/03/03(火)15:30:05
石川ワタルの競馬日記

【ミゾウユウのウズチュウ?】


 「今年の流行語大賞は決まりだね」
総勢60名ほどが集まったゴールデン街の新年会。外資系ソフトウェア関連会社のエリート社員で競馬ファンのT君がいう。まだ2月なのに、ほんとかよ。
 「どこかの首相の”ミゾウユウ”で決まりでしょう。インパクトありますもん」
 と、そこへシステムエンジニアのYさんが会話に参加。「T君、それは去年の暮れじゃないのかい。今年の流行語大賞なら、財務大臣の”うずちゅう”で決まりでしょうが。

 国会の財政演説で「金融危機の渦中」をうずちゅうって読むんだから、すごい人だ」
 こうなったら、何でもありかあああ。ミゾウユウの世界不況のウズチュウにあるんだから、おぼれて一巻のアウトかも。
 もうこれからは「競馬」は「キソウマ」、「騎手」は「キテ」と読むなんて、お触れが出たりして。日本語、めちゃくちゃになりまんがな。

 YさんはただのエリートのT君と違って、大会社の管理職にある超エリート。大の競馬好きで、記憶力抜群だから、ためにしに「17年前のダービー4着馬は」なんて聞いても、直ちに正解が出る。

 「ではYさんに問題です」
 と若いT君。
「昔、日本の未勝利馬にミゾウユウという馬も、ウズチュウという馬もいた。これはウソかホントか?」
「ミゾウユウって馬がいたら、それこそミゾウユウな出来事でしょうな」と、Tさん自信に満ちた答弁。「でも、ウズチュウはどうかな。鳴門海峡のウズが気になって、気になってという大阪あたりの馬主はいないと思うけど、ポケモン・シリーズにそんなのがいたからなぁ」
「やだなぁTさん、それってピカチュウでしょうが。えっ、それとも、これ、滅多にダジャレをいわないYさん渾身のギャグだったりして・・・。

石川ワタル(競馬評論家)2月17日発行「週刊競馬タイムズデータ集」掲載






■ わしの一点勝負!  かなざわいっせい 09/02/03(火)15:27:23
わしの一点勝負!

              かなざわいっせい

 逃げ 先行 差脚 追込
 47  61  105  19

 上記は昨年の最多勝利騎手・武豊の「連対時脚質」を示す数字である。わしには意外だった。武豊に限らず全ての騎手が、「先行」しての連対数が最も多いはずと推測していたのに、実は「差脚」の方が倍近く多かったとは、いやほんとに意外である。武豊の場合、実力も伴なう人気馬への騎乗機会が多いので、ま、そう焦らず道中はじっくり構えて…などという余裕があるから「差脚」競馬が出来るのではなかろうかではあるまいか?でも、他の騎手にはそれほどの余裕はないのだ。絶対に「先行」が多いんだよな!と言いながら、調べてみたら以下のような結果になったのである。昨年リーディングジョッキーのベスト10の10人の「連対時脚質」合計数である。

 逃げ 先行 差脚 追込
 360 680  783  104
 武豊の「連対時差脚率」=45・2%に対して、ベスト10合計のそれは40・6%にやや落ちるもののあんた、わしの予想はまたもや裏切られ「差脚」の数が圧倒的に多いのだった。ふーん。

 であるならば、「差脚馬で勝負」が正しい!そうだよなと言い聞かせつつ浅草場外に突撃したわしである。京都第10R伏見Sだった。「競馬ブック」紙の脚質認定によると、このレースでは「差脚」の馬が半分の8頭。その8頭の「差脚」の中から「スピード指数」上位3頭を選出した。そしたら1位は「88」でHトレノジュビリー、2位は「85」のAサラサラとEクラウンエンブレムの2頭だった。わしはその中で最も馬券的旨味(人気薄)のあるAサララの単!…は勇気がなくて買えず、複を買ったのである。

 あいやああああ…そしたらあんた、Hトレノジュビリーが1着、Eクラウンエンブレムは3着確保で、わしのAサララは複からも遠く圏外の7着。ふーん、ふーんふんふーん。

かなざわいっせい 1月27日発行「週刊競馬タイムズデータ集」掲載






■ 石川ワタルの競馬日記 【馬はスイスイ十六年】 09/02/03(火)15:25:27
石川ワタルの競馬日記
【馬はスイスイ十六年】

 1月18日、うすら寒い曇り空のもと、僕の本命馬アーリーロブストが京成杯を勝つ。
 それを見届けて、船橋法典駅へと向かう道すがら、見れば民家の庭に梅の花が咲いているではないかではあるまいか。僕がそう言うと、
 「それってかなざわいっせいさんのマネですか」と、同行の若いS君。
 そう言うわけではないけれど、まだこれから本格的な冬になろうとしているのにあんた、もう梅が咲いているのだよ。けなげにもホドがあるではなかろうかではあるまいに。

 「きょうの石川さん、なんかヘンですね」
 そんなことはありませんぞくじゃ。それよりチミ、「桃栗三年柿八年」のあとは知っておるかな。
 「梅が出てくるんですか。梅はウメーぞ、ほらやるぞ、とか」
 バカだねチミは。「ユズの馬鹿野郎十八年、梅はスイスイ十六年」じゃろが。
ユズの代わりに「梨の馬鹿めが十八年」ともいうけどね。
 「そうでしたか。でも16年もかかるんじゃ、スイスイではないと思いますけど」
 それはそうかも。いいところに気づきましたね。梅の実がなるのに16年もかかってたら、石器時代あたりじゃ平均寿命が先に来ちゃうかも。
 「またふるい例ですね。古すぎますよ」

 そうかそうか。それでは問題を出す。ウメの付く有名な馬と言えば?
 「ウメノチカラでしょう」
 おうおう、ようよう知っとるがな。
 「まかせて下さいよ。1964年の東京オリンピックの年、ダービーも菊花賞もシンザンの2着だったでしょう」
 よう知っとるやないか。
 「だって僕の母はシンザンと同い年で、そのころのダービーとか、調べたことありますから。石川さんは東京オリンピックのころ、もう還暦だったって、本当ですか」
 んなはずないだろう。バカバカ。

石川ワタル(競馬評論家)1月20日発行「週刊競馬タイムズデータ集」掲載





■ わしの一点勝負!  かなざわいっせい 09/01/10(土)13:26:48
 今、わしの周囲にいる馬券オヤジの数をかぞえるときは、1人・2人である。馬券は1枚・2枚。買い目は1点・2点。服は1着・2着であんた、競走馬がゴールを超えた確定順と同じではないか。靴は1足・2足で、わしが穴場まで突撃するときの足の動きは1歩・2歩。んじゃ、穴場は1穴・2穴か、え?…って、そんなことはないだろうから、1箇所・2箇所かもしれん。

 よっしゃッ!の気合は、ひとつ・ふたつだと思われる。「ひとつ気合を入れ直して頑張ろう!」などと、わしもそういうふうによく使用しますからね。この場合、本来数えられるものではない物件を敢えてカウントするかのような表現なので、実際には「ひとつ」はあるが、「ふたつ」はない。物理的に数えるならその回数であって、オロナミンCのコマーシャルでぶっ放しているように「ファイト、1発!」なんちゅうのがそれに当たると思われる。ファイトはひとつだが、2度3度重ねて繰り返すその行為の数だ。気合は、1声・2声または1発・2発でよろしいのではなかろうかではあるまいか。

 なんてことを日曜の浅草場外3階でブチブチ呟いていたわしだった。中京メイン・納屋橋Sに出走のIレッドビームシチーに関する調教師のコメントが、「真面目に走ればいい脚を使うんだよ。ここも『気持ちひとつ』だろう」と記載されていたからだ。

 馬にだってもちろん気持ちがある。Iレッドビームシチーの気持ちに合わせて、わしもコイツの背中を気持ちひとつ押してやろうではないか!と、そんな心持ちになっていたのである。

 で、二重丸完全7コの1番人気FアーバンストリートとIレッドビームシチーのワイドを買った。あいや、そしたらFアーバンストリートは勝ったのに、Iレッドビームシチーは追い込んだものの6着。足りなかったのは、馬の気合かそれともわしのそれか…、え? 
 
 かなざわいっせい 12月23日発行「月刊競馬タイムズ」掲載


■ 石川ワタルの競馬日記 【方角の問題?】 09/01/10(土)13:25:15

 「方角がいいんですかね、それともカミさんを置いて、ひとりで来ているのがいいのかな、と、ニコニコ顔のNさん。12月14日の香港国際レースでひと儲けしたそうな。
 Nさんは昨年12月、今年4月に続いて、なんと香港競馬負け知らずの3連勝だって。

 「そういえば、若手のA君や太っちょのSさんも香港で当てまくっているよ」
 と、食事のあとの呑み直し会で僕。このワンチャイの呑み屋は、今年4月にも来ている。香港には居酒屋はないが(日本の居酒屋チェーンが進出し始めた程度)、英国のパブのような店はいくつもあるからありがたい。
 「なんか知らないけど香港に来ると当たるんだよね、ウフフフッ」
 とNさん。「香港カップも、ビヴァパタカが4着に負けて、外したと思ったけど、待てよと。イーグルマウンテン1着付けの3連単も買ったからね、ウフフッ。でもあれで755倍は安いなぁ」
 当てて不満そうなNさんだが、僕もそう思った。勝ったのは2番人気でも、2着は単勝19倍、3着は52倍で、1.3倍の大本命が4着なのだから、日本でいう10万馬券か20万馬券でもいいのに。

 「香港のファンは馬券が上手ってことかしら」
 と、うら若いK嬢が会話に参加。アメリカ生まれでも、両親は日系人と日本人で、アメリカ人の血は一滴も入っていない。なのに西洋風の美しい顔立ちなのはどうして?周りの風土によって顔つきも変わるってことなのね。今回は、競馬カメラマンの父と一緒に香港まで来たというわけ。
 「方角ですか?私にとって方角がいいのは日本だって思っています。東京のテレビ局で仕事したいなあ」
 と、ロサンゼルスの大学3年生というK嬢。願いが叶うといい。
 うーん、方角ねえ。府中と中山、両方へ方角がいいのはどこじゃろか。それにつけても有馬は当てたし。

石川ワタル(競馬評論家)12月23日発行「月刊競馬タイムズ」掲載



■ わしの一点勝負!  かなざわいっせい 08/12/02(火)13:56:42
わしの一点勝負!

               かなざわいっせい

 日曜日の午後イチから歯が痛み始めた。休診日だからなあ…と呟きながらダメモトで行き付けの歯医者に電話してみたら、「これから出かけるところだったけど、応急処置はしましょう。直ぐに来なさい!」と有り難いご返事を貰ったのだった。その医院まで歩いて3分、走ればおおむね1分23秒。レントゲンを撮って、「詳細診断は後日、本日は痛み止めの薬を処方します。さて、私は大学の同級会なのよ」といって先生は出かける準備を始めた。ふーん。で、先生ってナニ大学のナニ学部の卒業なんですか?と訊いたら、医者はキョトンとしてわしを見た。
 「歯医者だか歯学部に決まってるでしょ」
 あ…、そりゃそうだよなあ…と苦笑いしていたら医者は、こう続けたのだった。
 「かなざわさんって、どこか常識から【ちょっと】外れたところがあるよね」
 はあ…?
 「あ、いや、【ちょっと】じゃなくて【かなり】だね」
 ぬわああああ…。
 「あ、ごめんごめん、【ちょっ】といい過ぎた、【ちょっと】ごめん」
 【ちょっと】じゃなくて、【かなり】のいい過ぎでしょうよ!と【ちょっと】抗議したが徹頭徹尾無視され、この続きは連休明けの火曜日にやろうということで、ほな本日はサイナラとなった。

 薬局で薬を買って飲んでから浅草場外に突撃したら、既に東京第10R奥多摩Sのパドックだった。前走13ゲート発走で負けた2頭、@シャイナムスメとCモルトグランデのワイド1点勝負。【ちょっと】常識外れのバカナオヤジがシャイナムスメの馬券で勝負である。隣のオヤジが「武豊がまた落馬したらしい」と呟いた。え…?と驚いたら東京第10Rは発馬してわしの馬券はハズレ…。
落馬にもハズレにも、【ちょっと】はない。武豊、大丈夫か、え?
 
かなざわいっせい 11月25日発行「月刊競馬タイムズ」掲載
 

■ わしの一点勝負!  かなざわいっせい 08/12/02(火)13:56:42
わしの一点勝負!

               かなざわいっせい

 日曜日の午後イチから歯が痛み始めた。休診日だからなあ…と呟きながらダメモトで行き付けの歯医者に電話してみたら、「これから出かけるところだったけど、応急処置はしましょう。直ぐに来なさい!」と有り難いご返事を貰ったのだった。その医院まで歩いて3分、走ればおおむね1分23秒。レントゲンを撮って、「詳細診断は後日、本日は痛み止めの薬を処方します。さて、私は大学の同級会なのよ」といって先生は出かける準備を始めた。ふーん。で、先生ってナニ大学のナニ学部の卒業なんですか?と訊いたら、医者はキョトンとしてわしを見た。
 「歯医者だか歯学部に決まってるでしょ」
 あ…、そりゃそうだよなあ…と苦笑いしていたら医者は、こう続けたのだった。
 「かなざわさんって、どこか常識から【ちょっと】外れたところがあるよね」
 はあ…?
 「あ、いや、【ちょっと】じゃなくて【かなり】だね」
 ぬわああああ…。
 「あ、ごめんごめん、【ちょっ】といい過ぎた、【ちょっと】ごめん」
 【ちょっと】じゃなくて、【かなり】のいい過ぎでしょうよ!と【ちょっと】抗議したが徹頭徹尾無視され、この続きは連休明けの火曜日にやろうということで、ほな本日はサイナラとなった。

 薬局で薬を買って飲んでから浅草場外に突撃したら、既に東京第10R奥多摩Sのパドックだった。前走13ゲート発走で負けた2頭、@シャイナムスメとCモルトグランデのワイド1点勝負。【ちょっと】常識外れのバカナオヤジがシャイナムスメの馬券で勝負である。隣のオヤジが「武豊がまた落馬したらしい」と呟いた。え…?と驚いたら東京第10Rは発馬してわしの馬券はハズレ…。
落馬にもハズレにも、【ちょっと】はない。武豊、大丈夫か、え?
 
かなざわいっせい 11月25日発行「月刊競馬タイムズ」掲載
 

■ わしの一点勝負!  かなざわいっせい 08/11/04(火)13:47:07
わしの一点勝負!
               かなざわいっせい

 10月12日の日曜日、三浦皇成の70勝目を狙い撃ちしようと企て、その日、三浦皇成が騎乗したレースで全て彼の単勝を買った。と、いってもあんた、最終以外は100だったけどね。そしたら残念というか見事というべきか、9連敗を食らってしまったのである。

 翌週の10月18日の土曜日、今日こそは勝つだろうとまたもや100円単勝を、倍額200円に増額してふんどし締め直し勝負をしたら、あやあ…第6Rの2着が最高で、全戦全敗のドボンだった。

 このまま本年は69勝で店じまいなんてことはないよな、とウダウダいいつつ友人と千住で酒を食らっていたら、ソイツがこういったのである。
 「明日は緊急出動的策術を使うしかないんじゃないか?」
 緊急に対処せねばならん事態かどうかは分からんが、しかし。策術は練るべきだと思うと答えたら、友人はしばらく考え込んだ。策術を練るとき、人はシワシワシワアアア…とアルコールが体内内壁襞の細胞に染み渡って行くような表情するのであるな、とわしは初めて知った。で、友人は、
 「明日、三浦皇成の乗るレースは、三浦皇成以外の騎手の単を100円で全部買う!」
 といった。あは、つまり殺し馬券だ。そう来たか、である。しかし、三浦皇成が勝ったときに、三浦の馬券がないんだからバカみたいやないか!いや、皇成のためならそれくらいの犠牲は払わねば!とかなんとか議論になり、結局互いに「お前とは一緒に競馬やってられんわ!」とぶっ放し合い、共同馬券勝負の話はお流れになったのであった。

 で、わしは最終で三浦皇成騎乗のJフサイチコウキを軸にして人気薄のOセレスダイナミックをヒモにしたワイドを買った。そしたら、あ…ワイド買ったら皇成が勝ってしまいよるがなあッ!と叫ぶと同時に、ポテと垂れた。1コ勝つってのが結構難しい。

 かなざわいっせい 10月28日発行「月刊競馬タイムズ」掲載

■ わしの一点勝負! かなざわいっせい 08/10/07(火)16:01:41
わしの一点勝負!
               かなざわいっせい

 25年前、茨城県稲敷郡にあるサラブレッド育成牧場「井の岡トレーニングセンター」で、住み込み牧夫として稼動することに決めた。厩舎に入ったときに、馬房から首を突き出し物凄い凶暴な視線でわしを睨みつけてきた1歳馬がいて、黒鹿毛のマルゼンスキー牝馬だったのである。わしが競馬場以外で初めてサラブレッドを目にした瞬間だった。「怖い…」と思わず呟き縮み上がったのであるのであった。

 その黒鹿毛が競走馬になって、競走名がアンフィニイ。彼女は、上総特別を勝ったのである。わしの記憶が正しければ、中山競馬場の4角過ぎのところのスタンドにある、あのクリスタルルームとかなんとかいうガラス張り客席が建設中だったときの上総特別だ。それをアンフィニイが、見事に勝った。

 アンフィニイの馬主さんが、柴原榮センセ。
神戸の眼科医である。わしが育成牧場牧夫時代に、アンフィニイを通じて柴原センセとお知り合いになった。

 ぬわあッ。おおむね22〜23年前の上総特別を勝ったあのアンフィニイの馬主さん・柴原センセの現在の持ち馬アンテリオールがあんた、23年後の本日の中山第9R・上総特別に出てくるではないか!

 はッあああーッ!ひとつ熱い息をぶっ放しわしは穴場に突入した。迷わずDアンテリオールの馬券を買ったのだ。…が、実は、単勝にするか複勝にするか、はたまたぶち込む金額はいくらにするか…では大いに迷ったのである。なんたってまあその…11頭立てのビリケツ人気で、単オッズが168.8倍だもんなああ…、ここ2戦勝ち馬からの時計差2秒の連続惨敗だからなあ…あ、あ、しかしエイヤ!でわしは単勝に決めた。

 来たら久々の…と獲らぬ狸を数えてウフウフ局地的に興奮していたが、結果は8着。来年の上総特別に期待したい…って、アンテリオールはもう7歳だから無理か?

 かなざわいっせい 9月23日発行「月刊競馬タイムズ」掲載

■ 石川ワタルの競馬日記 【メイショウサムソン???】 08/10/07(火)16:00:14
石川ワタルの競馬日記
【メイショウサムソン???】

 「石川さん、凱旋門賞、観に行くんですって。メイショウサムソンの馬券、頼んでいいですか?」
 新宿ゴールデン街の飲み屋で若い知り合いのB君に言われた。返事をする間もなく、店で初めて会ったばかりのYさんがいう。
「そんなの、やめとき。勝負になるわけないがな。休み明けで勝負になった馬なんて、おらんわ」
 「えーっ、そうですか」と、B君。というと、サムソンの“ソン”は漢字で書くと“損する”の損ですか」と精一杯のギャグ。
 「そうやな、昔、巨人にジョンソンってのがいて、あんまり打たんから、高いカネ払ったんが“損”だった、“ジョン損”だってマスコミに書かれよったよ」

 「えーっ、それは知りませんけど、メイションサムソンのサムソンは韓国のサムソングループと関係あるんですか」とB君。
 「あれはサムソンじゃなくて、サムスン電子じゃろが」とYさん。
 「でも韓国人は“サムソン”って、発音してますよ」
 「そんなの知らんがな。ここは日本でっせ。あんた韓国人か」
 「いえ日本人です」
 気の毒に、B君、そう言うと黙ってしまった。
 どうでもいいけど(よくないか)、メイショウサムソンのサムソンは、旧約聖書の怪力サムソンに決まっていると思うけどね。僕がそう言うと、B君、気を取り直し、
 「実は僕もそう思ってました。でも、ちょっと面白いことを言おうとして、スベっちゃいました。猿も木からスベる、ですか」

 「ちょっと違うじゃないの。若いのに、ギャグのキレがないね」
 「えーっ、石川さんのギャグはキレがあるんでしたっけ」
 なんやそれ。ったく、それじゃ“Some 損”じゃなくて、“大損”じゃあああ。

石川ワタル(競馬評論家)9月23日発行「月刊競馬タイムズ」掲載

■ わしの一点勝負! かなざわいっせい 08/09/06(土)11:50:42
わしの一点勝負!

               かなざわいっせい

 「10着、勝馬との時計差2秒以内、一桁馬番」
 前走で以上3コの条件をクリアしている馬を狙い撃つ!というのが、わしの最新開発の新馬券術「アフター10(テン)」である。なんか胃薬みたいなネーミングだが、しかし。前走10着馬なので、今回その馬はほとんど人気がなく、3着以内すれば配当は当然のごとくデカイのだ。
 日曜日の新潟最終に、その「アフター10の法則」にはまった馬がいた。1枠2番のロッタである。前走函館500万下、ダート1700mを10番人気で13頭立ての「10着」だった。勝馬との時計差は「1秒4」、馬番は「D」であるから、申し分のないアフター10なのだ。
 この馬は4前走で「10着・時計差1秒4・馬番@」とアフター10だったのである。次走の成績はどうだったかというと、これが逃げて惜しい4着だった。15頭立て8番人気で4着、しかもあんた勝馬との差が4着なのに0.2秒であるからして大健闘したと評価してよいと、わしは思う。今回は1コ着順を上げて3着以内をお願いしたいと呟きながら、わしは穴場に突撃した。
 買った馬券はAロッタと人気のGギブソンガールとのA−Gワイド1本である。それからやんわりと頭を上げて館内テレビに表示されてる単オッズを見たのだった。あいやああああああ…そしたらAロッタは80.1倍の12番人気ではないか。そりゃあ…人気薄を狙ってデカイ馬券をと望んでいるわしだが、しかし。単80倍はちょっと…人気薄過ぎる…のではなかろうかではあるまいか?が、もう買ってしまったのだから、引き戻せない。
 ところで「もうかってしまった」とパソコンのキーを打って漢字変換したら最初に出たのが「儲かってしまった」だった。
 んはははははああああッ!けどね、Aロッタは7着で、わしはまた損してしまったのである。ふーん…。

かなざわいっせい 8月26日発行「月刊競馬タイムズ」掲載

 

■ 石川ワタルの競馬日記 【小林青年おめでとう】 08/09/06(土)11:48:52
石川ワタルの競馬日記
【小林青年おめでとう】

 「うひゃー、小林青年がフランスの調教師試験に合格したんだ!」
 「そうそう、前からチャレンジするって言っていたからな。でも、よく合格するまでたどり着けたよね。お祝いのメール、送ったよ」
 と、知人の電話に答えて僕。
 ほんとに、合格おめでとうだ。全部フランス語で筆記試験から面接まで。成せば成る、成さねば成らぬ何事もって訳ね。
 「朝日新聞の“ひと”欄に写真入りで大きく出てたよ。見たでしょ」
 「いやそれが、朝日新聞は読んでないから気が付かなかった」
 僕が知ったのは「horse japan.tv」のニュースだったけど。ここには本人による詳しい試験の経過が書かれていて、どれだけ大変だったか、よく分かる。
“小林青年”と僕らがいっているのは小林智(さとし)さんのこと。34歳になるが、ずっと若く見える。日大理工学部卒業後、北海道のコアレススタッドで5年。次いで渡仏し、J.ハモンド厩舎で3年、R.ギブソン厩舎で2年、06年9月からM.デルザンクル厩舎に移って今に至る。06年秋にはディープインパクト陣営をフランスで手助けし、今は渡仏したメイショウサムソンがデルザンクル厩舎に迎えられた関係で、毎日面倒を見ている。
 「でもこれからが本番、開業は2009年末を目指しています」
 と小林青年。
 そうだよね。これから良馬を預けてくれる馬主を捜さなくては。でも武豊や角居調教師や日本の大手牧場関係者とも親しいし、新婚の奥さんはフランス人で可愛いし、前途洋々でうらやましい限りだね。
 「そうそう、前途洋々。それにひきかえ、石川さんときたら、前途ヨイヨイとちゃいますか?」
 うーん。確かにそうかもーと、感心してる場合か。せめてもう一花とはいわない。つぼみくらい付けさせてね。

石川ワタル(競馬評論家)8月26日発行「月刊競馬タイムズ」掲載



■ わしの一点勝負! かなざわいっせい 08/08/08(金)16:29:12
わしの一点勝負!
               かなざわいっせい

 7月19日の午後6時半頃だった。かつてのわしが夏季限定牧夫をしていた川上悦夫牧場の社長(もちろん川上悦夫氏)から電話が入った。「あること」がきっかけになり、国同士で言えば国交断絶状態のわしらだったのである。ふーん、あれからおおむね5年は経っているはず…だ。

「あること」には互いに触れず、十数分間話をして、電話を切った。婆さまは95歳で今も健在と聞いて、とりあえずホッとした。
 ふーん、しかし。どういう心境の変化が起きて5年ぶりの電話になったのか?などと考えたが答えは見つからず、わしは日曜日の競馬予想に取り掛かったのである。そしたら驚いた。

 日曜日のJRA競馬、新潟・小倉・函館の3場にあんた、川上悦夫牧場(新冠川上牧場を含む)の馬がなんと11頭の出走しているではないか。社台やシンボリではあるまいに、個人経営の牧場の生産馬が1日に11頭も出走するなんてことは、徹頭徹尾稀有な事態である。

 さっきの電話となんか関係あるのか…とふと思った。そう思ったら、必ず関係がある!という心持になって来て、オウッ!と雄叫び上げてわしはいきり立ってしまったのである。

 翌日、朝から川上悦夫牧場の馬の単勝で勝負し始めたのだ。そしたら、新潟7RLココロノマド・13着、9RHトモロザベスト・13着、小倉4RGオリオンザブラック・7着、6ROエイユーフェアリー・12着、函館1REヤマイチシャトル・7着、2R@ショウグンリーダー・2着、Jトレノヘイロー・10着、8RFブルーシーズン・12着、9R@メイショウサライ・4着と、あのなあ・・・9連敗を食らってしまった。

 残るは、函館10RのFハツカリと新潟アイビズSDのMレヴリの2頭である。Mレヴリは無理だろうからな、4番人気Fハツカリを軸のワイドに変更して1本勝負に挑んだら、あいやああああ、6着。

 何か言いたそうにしたまま…最後に笑い、そして電話を切った川上悦夫だったと、わしはハズレ馬券を握り締め、そんなふうな気がしたのである。婆さまが死ぬまでに日本ダービーを勝つこと!、それが川上悦夫の最大目標というのは、まだ変わっていないと思う…。

かなざわいっせい 7月22日発行「月刊競馬タイムズ」掲載

■ 石川ワタルの競馬日記 【怖がるべし、福島市民ってか?】 08/08/08(金)16:27:25
石川ワタルの競馬日記
【怖がるべし、福島市民ってか?】

 「いやぁ、驚いたの、驚かないのって」
 と、僕が話し出したのをさえぎって、若い飲み仲間のK君が
 「またですか、石川さん。で、どっちだとういうと、驚いたんでしょ」

 「なんだ、分かっているんだ。そう、驚いたわけ」
 「だから何に驚いたか言ってくれないと、話が進まないでしょ」

 というわけで、僕は7月13日(日曜)の午前11時半、福島駅前で体験した奇妙なありさまをK君に伝えたのだった。

 まず一軒目のコンビニ。入っていきなり目につくところに貼り紙がある。「本日の競馬新聞とスポーツ紙はすべて売り切れました」とは、いったいどういうこと。まだ昼前だよ、昼前。
 少し歩いて、二軒目のコンビニに入っても競馬新聞は売り切れ。スポーツ紙は二種類、残っているだけ。三軒目も同じ。JRの駅に戻ってキオスクを覗いても同じ。結局、買いたいスポーツ紙は手に入らなかった。
 怖がるべし、福島市民。

 ということなのか。夏の福島は久しぶりだから、よく分からないが、毎週こうなのか。それともこの日は福島名物、七夕賞の日だから、老若男女こぞって競馬なのか。
 「一番いいのは、一部だけ売れ残った状態ですよ。買いたい人は、もれなく買ったということになるから」
 以前、とある競馬新聞の幹部社員が言っていた。それはそうに違いない。販売部数を伸ばすには、決して売り切れなんぞにならないようにしないといけない。
 そうすると、新聞各社は福島で一体何をしているのだろう。商売下手にもほどがある・・・。てなことを考えていたから、七夕賞の馬券、外してしまったではないかあああ!

 「石川さん、他人のせいにしてはいけないでしょう」
 そ、そうでした。次、当てますからね。

石川ワタル(競馬評論家)7月22日発行「月刊競馬タイムズ」掲載

■ わしの一点勝負!かなざわいっせい 08/07/01(火)13:56:05
わしの一点勝負!
               かなざわいっせい

 日曜日の函館最終・基坂特別に出走のDブチカマシ。地方成績は26戦6勝2着4回3着6回で、JRAの美浦島田功厩舎に転厩してから2戦して府中で14着、14着の連続大惨敗である。

 コイツ、わしに似ている…そんな気がした。
「ふーん、いっせい君(一成)か。名前負けしてるな」と子供の頃から、この名前と本人の実力との差を散々揶揄され続けてきたわしには、ブチカマシ君の不甲斐無い戦跡と馬名の持つインパクトの差がジクジクと身に沁みてきた。

 インターネットで調べてみたら、ブチカマシは、姫路→園田→船橋→川崎→浦和そいでもってJRAと転戦しているのだった。くあ…ブチカマシのデビューの地が、これまたわしの生まれ故郷と同じ兵庫県姫路市ではないか。競走能力ファクターの5段階評価で最も低評価されてしまったのが、精神力の2点。わしも子供の頃の通信簿に「根性がない」と担任の先生に記入され笑われた徹頭徹尾情けない男だったのである。

 いつかどこかで強烈なブチカマシをかましてくれたら…と思いつつ単オッズを見たら、本日のブチカマシは16頭立ての14番人気で、113.2倍。デビュー戦の姫路では9頭立て8番人気の119.5倍だったのだから、ほんのちびっとだけ人気は上昇しているな。ブチカマシ君のブチカマシをひっそりどこかで期待している馬券おやじがいるにちがいない。よし!と、なんだか自分に似たこのブチカマシ君の小さなブチカマシをわしも期待して、「競馬ブック」紙の本紙本命Bエーシンエフダンスと組み合わせ、B−Dのワイドで勝負じゃあッ!…だったのだが、しかし。

 Bエーシンエフダンスは2着したのに、Dブチカマシはあえなく15着。…根性が酸欠起こしてわしは50年。大きく深呼吸したが、やはりまだ息苦しさを感じた。今度はもうちょっと頑張ってくれ、ブチカマシ!

かなざわいっせい 6月24日発行「月刊競馬タイムズ」掲載
 

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